日本における中国武術の第一人者
私の武術における恩師は伊藤秀賢先生です。
伊藤先生は、柿崎在住で、300年続く浄土真宗のお寺、西忍寺のご住職です。
その伊藤先生のご厚意で、東京の佐藤金兵衛老師をご紹介いただき、数年間でしたが、武術の手ほどきを受けました。
伊藤先生は、佐藤老師から東京で10年以上、学ばれ、中国武術4流派、日本古武道2流派の免許皆伝を許された方です。
私は40年近く伊藤先生から武術を学んでいますが、伊藤先生から学んで7,8年くらいたったころ、「君、仕事で東京へ出張する機会があるなら、佐藤老師を訪ねてみなさい」と言われ、恐縮しながら佐藤老師の道場を訪問させていただきました。
第一印象は、強烈なものでした。
その立ち姿を拝見すると、全く偏りがない、重心の乱れがない、全く隙が無いのです。
イメージで言うと、大変失礼な言い方かもしれませんが、地面にまっすぐ突き刺さっている杭のような、老師は別に直立不動ではなく、普通に動いておられるのですが、たとえば、その動作を写真を撮って細切れに写してみても、全ての写真に、そんなイメージを感じることができるというか・・・・何か人間離れした印象でした。
あと、もうひとつ強烈に印象に残っているのは、老師の目です。
非常ににこやかにお話されるのですが、その目で見られると背筋が凍るような、何とも言えない怖さを感じました。
佐藤老師は、日本で一番最初に中国武術の道場を開かれた方です。
まだ、ブルースリーも登場しておらず、ほとんどの日本人が中国武術の存在すら知らなかった時代のことです。
老師はもともと、家伝の大和流武術の継承者の家に生まれ、大和流の他に柳生心眼流、大東流、武田流、荒木新流、浅山一伝流などの古流武術を学ばれ8流派の免許皆伝を得られました。
また、台湾から中国武術の老師を招かれ、生活の面倒をみながら、中国武術の奥義を学ばれました。
それから、大陸の老師たちとも交流し、中国と日本を往来しなが親交を深めておられました。
私は、数年間ではありましたが、佐藤老師に直接手を取って教えていただき、貴重な体験をさせていただきました。
また、伊藤先生の推薦もあり、佐藤老師から直接免状をいただき、今でも一生の大切な宝として、接骨院に飾ってあります。
今はもう亡くなってしまわれましたが、その思い出も、私の一生の宝ものです。