太極拳日記
私は、毎朝、接骨院の掃除が終わると太極拳をやります。
そして、それが終わると少林拳の套路を12本打つのが日課になっています。
この時期、接骨院の大きな窓をカラッと開けて、朝の空気をたっぷりと吸いながらやる太極拳は最高です。
接骨院の窓からは大家さんが丹精込めて作ったお庭の花が見られるわけですが、この時期、百花繚乱、様々な花が咲き乱れ、最高の眺めです。
こんな中で太極拳ができるなんて、贅沢すぎます。
大家さん、ありがとうございます。
私のやっている太極拳は99勢。
99回技を繰り出す套路(日本では型といいますが、中国では套路と言います)をやるわけですが、普通所要時間20分位です。
若いときは、ひたすらゆっくりやって40分位かけてやっていたのですが、歳をとってからテンポ、リズム感が大切だなあと思うようになり、さっささっさとやるようにしています。
37年前から毎朝やっているわけですが、やめられない止まらないという感じで、やめようと思ったことが一度もありません。
したがって、努力して無理にやっているというわけではなく、毎朝太極拳をやることを楽しみにして目が覚めます。
いやいや、それは言い過ぎか・・・・・。
そりゃ朝起きたくない、会社に行きたくないと思ったことも何百回、何千回あったかもしれませんが、そんな朝でも太極拳だけはやっておきたいと思い、目を覚まします。
どんなこと考えて太極拳やっているかというと、会社勤めをしていたときは、「あ~昨日、お客さんにあんなこと言っちゃったなあ。怒っているんだろうな~」とか「ああ、製品の納期遅れている。お客さんにどうやって言い訳しようかな~」とか「くそっ、あいつなんであんなこと俺に言うんだろうか?腹立つなあ」とか、様々なネガティブな思いが脳から流れ出します。
えっ?そんな暗い気持ちで太極拳やってんの?
気分が良くなるためにやってんじゃないの?
そう思われるかもしれませんが、太極拳をやっている時の私の脳は、「こう思わなくてはいけない」とか「悪いことを忘れなきゃいけない」とか「気持ちを落ち着けてリラックスしなきゃいけない」とか、その「~しなきゃいけない」といった規範意識をはずしていますので、本性・・・・結構暗いので、ネガティブだだ漏れ状態で太極拳をやっています。
あと、時々、師匠の動きをイメージして、どうしたら同じになるんだろうとか、この技はどう使うんだろう?とか、この動き、こういった意味があるんだなぁ~とか、この動き、本で読んだことを応用するとやりやすいなぁ~とか、もう、脳を野放し状態にしながらやっているので、それが気持ちいいんだと思います。
最近は、大家さんの庭の花を眺めながら、うわぁ~なんて俺贅沢なんだろうって感激しながらやっています。
新緑と花々のコントラスト、風の音、空気のにおい、今の時期、本当に気持ちがいい。
あれ、ネガティブなことは?
いやあ、それ考えなきゃならないってことはないですから!
自然とそうなっているという話です。
太極拳が終わると脚の筋肉が張って、なんだか今日も一歩一歩歩いていけるような気がします。
それでも会社に行けば、頭を抱えることも、胃がきりきりと痛むようなことも、腹が立って「会社なんか辞めてやる!」なんて思うこともあります。
それでも、翌朝、太極拳を暗い気持ちでやると、また身体がしっかりとして、会社に行くことができます。
30年近く、なんの因果か、性格的にも向いていない営業マンの仕事をやってきて、なんでこんなに長く続けられたかなぁと考えてみると、太極拳をやっていたからだと思います。
そんな、太極拳をやっているからと言って、人生の達人になるなんてことないですよ。
全て、自然の流れのままに悟りきるなんてことはない。
37年間、太極拳をやってきた私が言うんだから間違いない!
自分が暗い泥船なら、太極拳はそれが沈まないようにするための魔法。
気取った言い方をするなら、そんな感じかなと思います。