腰痛はストレスも原因
その気の乱れは精神的なものから来る。
ここで改めて「痛み」とは何か?と考えてみましょう。
世界的規模で「痛み」について研究している国際疼痛学会という団体があります。
世界130ケ国の医師、医療関係者7000名以上が会員となっており、疼痛研究とその支援を行っています。
そこでは、痛みの定義としてこのような内容を発表しています。「実際になんらかの組織損傷が起こったとき、あるいは起こりそうな時、あるいはそのような損傷の際に表現されるような、不快な感覚体験、および情動体験」さらに、「痛みは主観的な症状であり、心理社会的スピリチュアルな要素の修飾を受ける」としています。
つまり、ケガをしたときや、いろいろ体に無理がかかったときに起きる不快な感覚、不快な感情を「痛み」と言い、それは個人的な感覚で、感情的なものにも、スピリチュアルなものにも影響を受ける、というわけです。
えっ?痛みって感情が関係あるの?
なんとなく不思議な感じがしますね。
しかし、長年にわたって腰痛で苦しんでいた人が、上司が転勤になり、そのストレスから解放されたら、すっかり良くなったという話を聞きます。
また、子供が学校へ行くのがいやで、おなかが痛くなって、学校を休むことが決まった途端、腹痛が治ったりします。
また、仕事でストレスが溜り、イライラしてくると胃が痛くなったり、肩が凝ったり、頭痛がしたり、ということはよくあることです。
このように人間の感情というものは、肉体の痛みとなって表れていきます。その痛みも感情の起伏によって、増減があります。
こう考えてくると人間の心と体は一体なんだなと思います。
私たち治療家は、患者さんの痛みを取り、その痛みが二度と繰り返されないように治療します。
そのときに、痛みのある部分にだけ焦点を当て、そこだけを治療しても治りません。全身のバランスを見ないと痛みの原因がわかりません。そして、そのバランスの崩れの原因は、気の乱れからきます。
その気の乱れは精神的なものから来る。
そこで、体の痛みの原因を根本的に取り除こうとするなら、心と体の両方から見て治療していく必要があるのです。もちろん、肩こりや腰痛などの慢性的な症状だけではなく、外傷によって起こった痛みにもこのことは言えます。
なぜケガをしたのか?そのケガには、精神的なものもかかわっています。気持ちのあせり、気分の高揚、落ち込み、怒り、悲しみなど、自分でも思い起こしてみればたくさんあるはずです。まさに心と身体はつながっているのです。