踵こそが腰の救世主!
「踵重心」の理論にたどり着くものと思われます。
私たちの生活では、前にかがんだり中腰になったりといった姿勢が多くなります。当然重心はつま先寄りになり、普通に立っていてもその偏りは残ります。
つま先重心でいる時間が長くなると、お尻の筋肉が緊張しっぱなしになります。太ももの筋肉、ふくらはぎも常に緊張を強いられて、硬くなってきます。その筋肉の硬さがお尻から足にかけての血管を圧迫し、痛みやしびれを出します。
これがいわゆる「坐骨神経痛」と呼ばれる症状です。
しかし、これは坐骨神経が痛みを出しているわけではありません。坐骨神経の側を走行している血管が痛みやしびれを出しているのです。すなわち血流の悪さが痛みしびれの原因です。そしてその根本原因を探っていけば、つま先重心にたどり着きます。
つま先に重心を置いて、前屈をしてみましょう。
前に倒れる怖さで、足腰の筋肉はがちがちに固まるのがわかります。重心を足の裏の真ん中に落としてみましょう。
さっきよりは楽ですが、腰の筋肉、太ももの裏などがまだ緊張しているのがわかります。
次に踵を意識して踵重心で前屈をしてみましょう。
さっきよりも腰や足も緊張が取れて、やりやすくなっているでしょう。このように踵重心でいると前屈だけではなく、腰をひねる動きも大きくなります。
つまり日常動作においては、踵重心のほうが動きやすいし、ぎっくり腰やいわゆる「坐骨神経痛」と呼ばれる慢性的な症状も起きにくいのです。
スポーツにおいても、今まではつま先重心で動くのが常識でしたが、最近では踵重心のほうが動きやすいということで、トレーナーやコーチの指導の仕方も変わってきているようです。
日本では、古来より踵重心の意識があたりまえのようにあったようです。
それは、剣豪宮本武蔵が書いた「五輪書」に説明があり、「剣術における歩き方は、普段歩くのと同じように歩きなさい。すなわち、踵でしっかりと地面を踏むように・・・・」とあります。
これは武蔵が生きていた時代の人たちが踵重心でいたことを示唆しています。なぜなら、踵重心が身についた人の歩き方は必然的に踵を地面に丁寧につきながら歩くことになるからです。命のやりとりをしてきた武蔵が、身体の動かし方を研究し極めていった結果、「踵重心」が一番効率的だという結論に達しています。その理論の信ぴょう性は高いと思います。
それだけでなく、これからのスポーツ理論も、最高のパフォーマンスを求めていった結果、「踵重心」の理論にたどり着くものと思われます。
当院では、このように日常生活にもスポーツにも役立つ「踵重心」をみなさんに獲得していただけるよう、指導していきます。