地球に住む。
毎朝、日課として散歩をします。
今は実家の車庫を改造して仕事をしているので、そこから歩き出します。
仕事場から出て、ひたすら真っ直ぐ歩きます。
駅前通りを横切り、住宅地を抜けると、あたり一面の田んぼが広がります。
その真ん中を真っ直ぐに続く道を、ひたすら真っ直ぐ歩きます。
右を見ると田んぼの向こう側に雪山が見えます。
左を見ると田んぼがしばらく続いた向こう側、地平線のかなたに低い山々が連なります。
視線を右から上、上から左へとむけると、とてつもなく広い空が広がっています。
後ろを見ると住宅街。
小さなおもちゃみたいな家が並んでいます。
いつもこの光景を見ると思うんです。
ああ、私は地球に住んでいるんだなあと・・・。
歩いていると、右手の雪山の背後から朝日が昇ってきます。
私の前を歩いている小柄なおばあちゃんが、ふと立ち止まり、朝日に向かって合掌します。
そしておもむろにポケットから写真を取り出します。
おじいちゃんの写真です。
その写真を朝日に向けて、しばらく佇んでいます。
私は彼女の横を通り過ぎて、無言の会話を想像します。
「おじいちゃん、朝日がきれいだね。」
「ああ、そうだな。」
おそらく、毎朝、おじいちゃんと散歩をするのが日課だったのかもしれません。
みんなそれぞれいろいろな思いでこの地球にすんでいるんだなあと思いました。
そして、私はまたずんずん進みます。
時間の都合で、二つ目の信号の手前で引き返します。
左手に朝日がぐんぐん昇っていくのが見えます。
しばらく歩くと小学校に通う子供たちがやってきます。
今日はお天気で歩きやすいけれど、吹雪の日は大変です。
風がびゅうびゅう吹きすさぶ中、田んぼの中の一本道を歩かなければなりません。
視界が真っ白になり、息もできないくらいの風が吹きます。
だから雪国の子供たちは、逞しい。
子供たちは、私とすれ違うと恥ずかしそうに挨拶をしてくれます。
「おはようございます。」
その声を聞く度に、将来の若者たちのためになるような文化や遺産を残したいと思う。
さて、住宅地に戻りました。
通勤の車が多くなっています。
私が安全に自宅に戻るためには、ふたつの横断歩道を渡らなければなりません。
横断歩道の前に立つたびに車が止まってくれます。
最近は、横断歩道を渡ろうとする人を見たら停止しなければなりません。
日本の国らしい法律だと思います。
歩行者にとっては、すごく助かります。
しかし、通勤時間の忙しい時に止まってくれて申し訳ないなと思います。
止まってくれた車に一礼して横断歩道を渡ります。
そして仕事場に戻ってきました。
地球人として、日本人として、新潟人としての一日が始まります。

