あなたの筋肉、強すぎていませんか?
腰の痛い患者さんに筋力テストをすると、多くの患者さんは背中の力が弱かったり、お尻の力が弱かったりします。あるいは、これらの筋肉の力に極端な左右差があったりします。
弱い筋肉だけでなく、強すぎる筋肉も確認されます。
以前、エッセイでも書きましたが、弱い筋肉は圧力に対する反射が遅い。
こちらが押していくと、反射が遅れるので押し込まれます。
もし、私よりも患者さんの力が強くても、押し込まれてから押し返すことになります。
どんなに力が強くても、力を入れるタイミングが遅ければ、一時的に押し込まれてしまいます。
これは脳から筋肉に指令が行っても、筋肉が正常に機能していないので、当然力も弱い。
弱いという判断基準は、あくまでも患者さんの筋肉が正常に働いている時と比べて弱いという意味で、私よりも弱いという意味ではありません。
しかし、では、強すぎるという筋肉は、どういう基準で判断するのでしょうか?
強すぎるということは、強いんだからそれでいいじゃないかと思われる人もいるかもしれません。
しかし、力が入りすぎて抜けない、リラックスできないというのは問題があります。
つねに筋肉に力が入っているということは、筋肉が収縮し続けているわけですから、それに引っ張られて骨盤、背骨などの骨格がゆがみます。
骨格のゆがみがきつくなると、それに付着している筋肉はゆがんだまま動くことになります。
つまり不安定な状態で、収縮することになります。
足場がわるい不安定なところに立って重い物を持つとギックリ腰になりますよね。
あれと同じ状態が、体のあちこちで起こることになります。
したがって、強すぎる筋肉を探し出し、リラックスできるようにするのは、とても大切なことです。
さて、そこで何を基準にするかですが・・・・。
筋力テストで、私が患者さんの手足を押すと、患者さんの筋肉が瞬間的に反応して強い力が出る。
これは正常な筋肉も力が入りすぎの筋肉も同じ反応です。
これだけでは、その筋肉の力が、正常なのか力が入りすぎなのか判断できません。
そこで、中国で古来から行われている「脈診」を応用して使います。
まず、指標となる筋肉を決めます。
正常に反応する筋肉です。
私の場合は、太ももの筋肉を使います。
次に患者さんにご自分の手首にある内臓の反射点に指先で触れてもらいます。
手首には内臓の反射点があります。
その反射点を指で触れてもらった時に、太ももの力が弱くなれば、その内臓のエネルギーが過剰であるということになります。
そして、その内臓に関係する筋肉の中に、強すぎる筋肉がある、ということになります。
一つの内臓に対して複数の筋肉が関与しています。
たとえば、大腸に関していえば、腰の筋肉、太ももの横の筋肉、ふとももの裏の筋肉が関係します。
大腸のエネルギーが足りなければ、これらの筋肉は弱くなります。
過剰であれば、これらの筋肉は力が入りすぎています。
次に意図的に大腸のエネルギーを不足させるために、大腸の経絡に流れるエネルギーを逆流させます。
すなち、大腸のエネルギーは人差し指から始まって、肩、首を通り反対側の鼻の穴に入るので、これを指先で逆になでます。
なでるといっても、触っているかいないかていどです。
こうすると大腸のエネルギーが逆流し、関係する筋肉の力は弱くなります。
これをするとはっきりと筋肉に力が入らなくなりますので、初めて経験される方はビックリします。。
これは、気功法などで、気を操る修行などをしなくても、経絡の走行を知っていれば、だれにでもできます。
しかし、経絡を逆流させても、それでも弱くならない筋肉があります。
これが、いわゆる力が入りすぎの筋肉です。
この力を抜くために鍼灸でいうところの五行穴を押します。
これで、あらためて経絡を逆流させると、強すぎた筋肉は弱くなります。
次に経絡を正しい方向になぞります。
これで大腸に関する筋肉は適切な力を出します。
とかく痛みがあると、その筋肉は弱くなっているので鍛えなければ・・・と思う人が多いです。
しかし、筋肉はチームプレーです。
その筋肉が弱くなっているのは、他の筋肉が強くて力が入りすぎているのが原因かもしれません。
弱い筋肉は強くし、、強すぎる筋肉は力みを取る。
これが痛みに対する根本的な解決方法だと考えます。