恥ずかしながら、滑って転んで大の字になった。
実は今朝、散歩中に滑って、すってんころりんひっくり返った。
今朝の気温は0℃。
雪解けは進み、昨日は春先のおだやかなお天気だった。
今朝は、その雪解けの水が道路で凍って、かなりヤバい状態になっていた。
充分気をつけていたつもりだが、見事に大の字になって倒れた。
日頃から、私は雪道ですべって転ぶことはない!と豪語していた。
武術で鍛えた足腰とバランス感覚に自信があったからだ。
ところが、先日、武術の稽古で左膝を痛めてしまい、踏ん張りがきかない状態だった。
しかし、多少の膝の痛みに負けて散歩を怠けるというのは、武術家として、治療家としてのプライドが許さなかった。
中途半端にぬがる雪山の道を登り、例の市民の森の学習棟で太極拳をした。
やはり、山の空気はいい。
深く呼吸して太極拳をしていると体中にエネルギーが満ちてくるのを感じる。
それがおわって山道を降りる。
がたがたになっている雪道を、時に浮かび時に沈みながら降りて行った。
この時点で、少し膝がヤバいという感じはした。
やっと坂を降りきって駐車場に降り立ったその瞬間、氷に足をすくわれた。
もちろん、駐車場一面に氷が張っていたのはわかった。
充分注意して降りたつもりだ。
だが、悲しいかな左足の踏ん張りがきかなかった。
つるんと脚が救われた瞬間、なぜか私の心に浮かんできた言葉があった。
「ゆっくりと大の字、空をながめろ。」
心の命ずるままに、ゆっくりと背中を床につけ、手足をのびのびとのばしてきれいな大の字になった。
そして青空を見上げてつぶやいた。
「あ~らくらくした。」
どこも痛くはなかった。
ケガはなかった。
のんびりした気分で空を眺めて、起き上がった。
まわりを見たが誰もいなかった。
普通なら、足を滑らせたら、肘か膝をついて背中が地面に突かないようするだろう。
そして、すぐにまわりを見まわして、だれも見ていないかを確認する。
転んだところを見られるのが恥ずかしいからだ。
尻もちをついた姿や、転んだ姿を誰にも見られたくない。
左足を痛めていたからしかたないだろう!と、見ている人たちに言い訳するのも変だし・・・・。
今回の件で学んだことがある。
大の字になるためにゆっくりと背中をつく。
その時、頭を打つとまずいので、、顎はしっかり引いておく。
あくまでも大の字を最終目的として倒れること。
それとできるだけゆっくりと倒れるように意識することだ。
これにより手足を踏ん張ったりつっぱたりしないで済む。
下手につっぱって手足を地面につくと、折れたり捻挫したりする。
ゆっくりと大の字になるべくしてなる。
あとはまわりに何と言われようが笑われようが、ケガをして、あとで苦しむよりましだ。
柔道の受け身を習っておけばいいとか、よく聞くが、私は余り賛成しない。
なぜなら、受け身は腕で畳を激しく打つからだ。
これによって背中、腰にかかる衝撃を分散する。
しかし、下が畳だから、それが通用するのであって、堅いコンクリートだったら、腕にケガをするのは間違いない。
いや、普段は腕を打たないように気を付ければいいと言う人もいる。
しかし、何回も受け身の稽古をすることにより、腕で畳を打つのが当たり前のようになる。
いざと言う時、習った受け身で腕が折れた・・・・ではお話にならない。
恥も外聞もなく、ゆっくりと大の字になって少し空を眺めてから起き上がる。
これが私のおすすめだ。