NHK アニメ 「チ。」について
今年中学3年生を卒業しようとしている息子が、今はまっているアニメがある。
NHKで放送されている「チ。」というアニメだ。
中世ヨーロッパが舞台だ。
この時代、キリスト教の教会が権力を持っていて、天動説が信じられていた。
地球は宇宙の中心の一番低い場所にある。
だから、ものを落とすと地球の中心に向かって落ちていく。
地球は止まっていて、その他の星が地球の周りを動いている。
なぜ、地球は宇宙の一番低い場所にあるかというと、罪深き人間の罪を償わせるために作った星だからだ。
人間は地球に生まれてきて、つらい日々を送り、聖書にしたがって生を全うすれば、天国に行ける。
これが天動説だ。
その時代の人々は、地球は罪を償うための場所で、死んで早く天国に行きたいと考えていた。
それに対して地動説は、地球は宇宙の星々と同じ仲間で、太陽の周りを自転しながら公転しているというものだ。
そして、その美しい規則性は神のなせる技であり、地球は贖罪の星どころか美しい星であるという。
しかし、この考え方は、キリスト教の教えとは対立するもので、絶対にあってはならないことだった。
教会は、神の教えを否定する異端者として、地動説を研究し信じる者を徹底的に弾圧した。
地動説を信じ、研究するものを見つけては、拷問にかけて、改心するように促した。
それでも改心しない者は、火あぶりにして殺してしまった。
それでも地動説の学者たちは、自分の研究の成果を後に続く人たちに託し、死んでいった。
彼らは、真理のために命を捨てて地動説を守っていった。
今になってみれば、地動説がなければ、科学は発展せず、その膨大な恩恵も得ることはできなかった。
死んでいった彼らは、人類の未来のために命を捨てていった。
どんなに弾圧されても、残酷な拷問を受けても、火あぶりで殺されても、地動説を捨てることはなかった。
今、私たちが便利なものに囲まれて快適な暮らしができるのも、未来のために命さえ投げだし彼らのおかげである。
今、あたりまえにできていることが、多くの人たちの犠牲の上に成り立っていることを忘れてはならない。
しかし、人間とは強い生き物だなと思う。
どんなにひどいめにあっても真理を明らかにしたいという思いが消えない。
未来のためなら、命さえ投げ出す。
人間なんて弱い生き物だと言う人も多い。
だが、人類の歴史を見ると、人間は強いと感じる。
本当のことを知るために命さえ捨てる生きる生物だからだ。
自分とは何か?
自分はなぜ生まれて来たのか?
自分の生きている意味は何か?
人生とは何か?
死とは?
自然とは?
世界とは?
宇宙とは?
神とは?
生まれてきてから今まで、そんなことは全然考えたこともないなんて言う人はいないと思う。
世の中のことには、全て意味があり、どうしてもそれを知りたいと思うのは人間の性なのかもしれない。
このアニメを見て、つくづくそう考えさせられた。