なぜあくびは出るのか?
あくびは何故出るのか?
これは今のところはっきりとはわかっていない。
眠い時、退屈なとき、緊張している時も出る時がある。
しかも、人があくびをしているのを見ると、こちらもあくびが出てしまう。
あくびは、なぞだ。
一説によると、脳に酸素が少なくなってくると、大量に酸素を吸い込みたくなる。
これがあくびの原因だという。
長い間、この説は信じられてきた。
心理学を専攻するメリーランド大学のロバート・プロヴァイン教授によると、「この説は大間違いだ」と言う。
この酸素吸い込み説が本当に正しいのなら、人に純粋な酸素を充分に与え続ければ、あくびは起きないはずだ。
しかし、教授は被験者に純粋な酸素を被験者に充分な量を与え続けたところ、なんの影響もなく、いつもの頻度と変わらずにあくびをするのがわかった。
次に血中の二酸化炭素濃度が高くなると、それを輩出するために出るのではないかという仮説を立てた。
しかし、被験者に通常の100倍の濃度の二酸化炭素を吸入させた。
しかし、あくびの回数は、普段と変わり無かった。
つまり血中の酸素濃度、または二酸化炭素濃度を調整するためにあくびは出るわけではない、ということが立証された。
その他にあくびの原因として、脳の温度が高くなると、冷却するために大量の空を吸い込むというものがある。
これが本当なら、風邪で熱が出た時に、脳を冷やすためにあくびの頻度が増すはずである。
これも頻度があがることはなく、あくびの原因とはならなかった。
私の立場から言えば、あくびの原因は側頭筋と咬筋を緩めるためだと考える。
ものを何回も噛むとこめかみが疲れる。
当然顎も疲れる。
人は何か緊張すると、あごに力が入り、緊張が続くとこめかみが痛くなることがある。
口を開ける・閉じるは、顎についている咬筋(こうきん)の働きによる。
このときにこめかみから耳の上についている側頭筋(そうくとうきん)も働く。
緊張が長く続くと、この咬筋と側頭筋は持続的に緊張して固くなってくる。
こうすると頭蓋骨を締め付けるようなことになり、頭蓋骨の内側を満たしている脳脊髄液の流れが悪くなる。
脳脊髄液は首から下にも流れ、脊髄に栄養を与え、神経の通りをよくする。
したがってこの流れが滞れば、神経の通りが悪くなるので、いろいろな問題が起きてくる。
これを防ぐために、大きな口を開け、咬筋と側頭筋をストレッチして緩め、脳脊髄液の循環を良くする。
つまり、あくびが起きる原因は、心理的・肉体的原因から、咬筋・側頭筋が固くなり、それをストレッチして緩めるために起きる。
眠くなった時、あくびが出るのは、疲れがたまっていて、咬筋・側頭筋も緊張しっぱなしなので、それを緩めてから眠ろうとする生理現象であり、緊張していてもあくびがでるのは、咬筋・側頭筋を緩めることにより、脳脊髄液の循環をスムーズにして、動きやすくするためである。
もちろん、あくまでも私の推論である。
あくびがうつるのは、これも科学的には証明されていない。
私が考えるに、これは脳の中にあるミラー・ニューロンのせいだと思う。
人の行動に、思わずつられてしまったり、人の感情に思わずこちらも同調したりする。
脳には、思わず人を真似してしまう神経がある。
あくびを見ると、この神経が働き、思わず真似してあくびをしてしまう。
まして、人があくびをしているのを見ると、気持ちよさそうに感じるので、よけいつられてしまう。
人は何歳ごろからあくびがうつるのかを調べると6歳からだという。
これもミラーニューロンの発達する年齢と関係するではないかと思う。
また、あくびをしている人に対する近親感が強いほど、あくびはうつりやすいという説もある。
気になる人の前であくびをしてみれば、その人がそれだけこちらに近親感を抱いているかがわかるのではないか?
あくまでも私の仮説でだが、多分、正しいと思う。