あなたの真っ直ぐは、本当に真っ直ぐですか?
当院に来院される患者さんには、まず最初に「姿勢を見させていただくので、真っ直ぐ立ってみてください」とお願いする。
そうすると、いろいろな姿勢になる。
背中が丸くなっていて、ご自分でもわかっている人は背中を起こそうとする。
しかし、背中が起きないので腰だけ反らす。
そうすると背中が丸く、お尻が後ろに出る、いわゆる反り腰になる。
背中も丸く、腰も丸い人は膝だけ伸ばして、真っ直ぐに立とうとする。
しかも膝も伸びないので、頭だけ起こして真っ直ぐにしようとする。
こうなると、膝頭は前に、骨盤はやや上を向き、背中は丸いままで頭だけ上を向く。これはいわゆるおよび腰だ。
しかし、ご本人はまっすぐに立っているつもりだ。
足の位置も、左右とも同じ位置に立っているつもりが、右足がわずかに前になっていたり、左が前になっていたりする。
腰も最初から右に回旋していたり、左に回旋していたりする。しかし、顔はまっすぐなので、体も真っ直ぐになっていると思っている。
その他、自分でも意識してないのに左右の手の甲が内側に向いていたり、あるいはどちらかが内に向いていたりする。
ほとんどの方が、まっすぐ立つという自分の感覚と実際の身体の位置がずれている。
このように偉そうに言っている私も例外ではない。
このずれは、どうも年とともに大きくなっていくようだ。
人間の脳の中には自分の体の立体映像があるという学説がある。
この立体映像をもとに自分の体を動かしているらしい。
たとえば、自分の右腕が今どんな形でどの位置にあるのか、右足の位置がここにあるので、このくらい上げれば、地面のでっぱりをまたぐことができるとか・・・・。
この映像が実際の肉体とずれてくると、家の中で敷居につまずいたり、部屋のドアに指を挟んだり、箪笥の角に足の小指をぶつけたりする。
これを防ぐためには、一旦身体を強制的に物理的にまっすぐして、その感覚を脳に憶えさせる必要がある。
強制的に身体をまっすぐにするには、カイロプラクティックや東洋医学を使って筋力のバランスをとり、骨格の矯正をする。
その状態を日常生活の中で再現するために、ツボを刺激し、踵に身体のパーツが積みあがっていくための方法が必要だ。
これを一日の中で定期的に行うことによって、自分の脳内の立体映像が実際の身体と一致してくる。
それで動きやすくなり、ケガの防止にもなり、痛みや不調が改善されていく。
「真っ直ぐ立ってください」と言われてまっすぐ立てるということは、それだけ素晴らしいことなのだ。