胃カメラ検査、決死の覚悟で臨んだ結果・・・・・。
最近、胃の調子が悪い。
なんていうと、人のここが悪い、あそこが悪いなんて偉そうなこと言ってるくせに・・・などと言われそうだ。
しかし、お医者さんでさえガンで亡くなる方もいる。
私の胃の調子が悪いくらい、ご容赦願いたい。
食欲はあるのだが、食べた後、むかむかしてきて胸やけがする。
気持ち悪くて一晩中眠れないこともある。
これは、ちょっとまずいかなと思い、近くの内科クリニックに行って診てもらった。
取りあえず胃カメラを撮りましょうと言われて、翌々日、すなわち今日、胃カメラを撮ることになった。
そうしたら、困った。
なんせ、胃カメラなんて生まれて初めてだ。
私の院に来られる患者さんから、「こないだ胃カメラ飲んでね、苦しかったぁ~」なんて聞かされていたので、ああ、そうなんだあくらいに聞いていた。
ところが、で、ある。
まさか、私が胃カメラを飲むはめになろうとは、夢にも思わなかった。
これは困った。
何が困ったかと言うと、私は、ほんの少し舌を押さえられただけで、「おぇ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!」となってしまうからだ。
そんな私が胃カメラを飲んで、そのコードがのどを通過するときにただで済むわけがない。
看護師さんによると、胃カメラでの検査は5~15分位かかるという。
そんな長い間、げぇげぇ、おぇおぇ苦しみながら耐えなければならないのか!
地獄だ!まさに地獄以外の何物でもない!
なんで私がそんなに地獄の責め苦に耐えなければならないのか!
とても耐えられる自信がない。
私がどんな悪いことをしたというんだ?
私は、犯罪を犯したのか?
だれかを追い詰めて傷つけたのか?
曲がりなりにも、自分なりにまっとうな人生を起きってきたつもりだ。
それが、なんで、こんな目に合わなければいけないんだ!
畜生!この世には神も仏もないのか!
青ざめた顔で看護師さんに聞いた。
「私は、ほんの少し舌を押さえられただけで、おえってなるんですけど、大丈夫でしょうか?」
すると彼女は春の海のような穏やかな笑顔でこう言った。
「だいじょぶですよ。安定剤も打ちますから、ふふふ。」
安定剤ってなんだ?
精神安定剤ということか。
精神的に落ち着けば、「おぇっ」てならないのか?
いやいや、私はごまかされないぞ!
「おぇっ」となる嘔吐反射は、反射だ。
だから、単純に刺激に反応するものだ。
精神が安定したからと言って、反射が収まるわけはない。
看護師さんのこの言葉は、私にとってなんの慰めにもならなかった。
検査の前の日の夜、夜中に目が覚めて不安で眠れなかった。
眠れないまま朝を迎え、とりあえず出かける前に院内の掃除を丁寧に行った。
もうまともな状態でここに戻ってこれないかもしれない。
検査への恐怖、悪い結果が出ることへの恐怖を抱えていた。
だから、せめて、私がいなくなったあと、仕事場が汚いようでは、世間のそしりを受ける。
私のプライドが許さない。
飛ぶ鳥あとを濁さず。
いままでの感謝を込めて、丁寧に掃除をした。
いよいよ、検査の時間が近づいてきた。
仕事場の玄関を出て上を見上げると、私の気持ちとは裏腹に、冬の澄み切った青空が広がっていた。
そのクリニックまで徒歩20分。
安定剤を使うので、車では来ないでほしいと言われていた。
晴れているとはいえ、身も凍るような冷たい風が、時折私の後頭部を突き刺した。
凍てつく寒さに耐え、クリニックの玄関にたどり着く。
「長い一日の始まりだ。」
つぶやきながら受付に向かった。
待合室は、それほど混んではいなかった。
少し待って名前を呼ばれた。
ついに運命のときがやってきた。
もはやジタバタしてもしょうがない。
覚悟を決めて検査室に入った。
まず看護師さんに渡されたのは、ピンク色のドロドロした液体が入ったコップだった。
これは、胃の中を見やすくするためのものだそうだ。
口に入れると、少し甘い。
変な味はしなかった。
次に「胃の動きを止めるための注射をしましょう」といわれて右の三角筋中面付近に注射をされた。
看護師さんは、「ちょっと痛いかもしれませんよ」と言ったが、それほど痛くはなかった。
次に小さな冷たいシャーベットみたいな小さな塊を渡された。
「これを口の中で溶かしてください。溶けたら飲み込んでもいいですよ。そうする口からのどにかけてしびれきますからね。」
こういわれて冷たいシャーベットを口に入れた。
そうすると、だんだん口に中からのどにかけてしびれてきた。
しかし、強い痺れではない。
喉の筋肉を弛緩させるもののようだ。
そこで、先生が来て、マウスピースをくわえるように言われ、左を下に横向きにベッドに横たわった。
左腕の血管に注射を打たれ、「はい、鎮静剤を入れますね~」と言われた。
すると体の力が抜けていくのが分かった。
そしていよいいよ胃カメラ投入。
案の定、私は「おえっ」となった。
ただ、なりはしたが、「おぇ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ」とはならず、「おえっ」で済んだ。
しかも、「おえっ」も苦しい感じではなく、ただ一瞬、反射しただけみたいな感じだ。
あとはウトウトしているあいだに検査は終わった。
よかった。
本当に良かった。
看護さんが、「薬が切れるまで少し寝ていてください」と言われたので、安心して眠った。
それから1時間半くらいたって、先生から説明を受けた。
「どこにも異常はないですね。まだ調子が悪いようならお薬出しておきましょう。」
さらにほっとした。
初めての胃カメラ。
決死の覚悟で臨んだ今日だったが、苦しくもなく異常も見られなかった。
あああ、これで私の日常が戻ってくる。
心の底から安心して帰路に就いた。
いい経験だったと思う。

